アーセランが衛兵を殺して投獄された…そして脱獄したという
にわかには信じられないリュシアンとサーシャ。そして家には衛兵がアーセランの売っていた鹿肉を調べに訪れいていた。
「うーん…そりゃ気持ちは分かるが」
「しかし、もう少し詳しく話してくれないか」
「アー君はそんなことしてません!!」
「だがらぁ!!もぐ…んぐぐぐ」
「ゲホゲホっ!ちゃんと目撃者がいるし本人にホワイトランまで来てもらって直接確認もした。」
「目撃者とは?」
「それは守秘義務ってもんが一応あるんでな」
「では、アーセランが女の子をを誘拐したという証言はどこから来たんだ?」
「それに関しては悲鳴を聞いただけらしいんだが…現場をうちの衛兵に目撃されたんだろう、それで顔を見られたから腹に恐らく…ナイフかなにかを突き立てて少女を連れ去ったってわけだろうな。」
「あいつはただの商人だ、訓練された衛兵を一撃でというのは無理がないか?」
「っはあー!あんたもお人好しだね。もしかしたら実際は手練れの戦闘員かもしれないぞ。それに殺された衛兵は配属されたばかりの新人だった。」
「あと、目撃者によれば、他にも逃げる人影を見たって情報だ、仲間がいれば弱くても殺すことは可能だ。」
「他にも数人?」
「アーくんそんな人じゃ…!」
「ん…」
「ハァッ!?」
「どうしたんだ!何かおかしいか!?」
「…ハ」
「ハチミツ酒がもうないぞ!!」
「なんてこった!!主長に一本までって言われてるのに」
「あのな、一応仕事中だろう。大体、鹿肉の毒味だけで良いはずだぞ」
「俺は毒味のプロだぞ…!鹿肉ははちみつ酒と一緒に提供しているんだだから…」
「一緒に食べて調べなきゃ意味がないだろうがぁー!!」
(早く帰ってくれないかな)
「あーうまかった!!いい鹿肉だな!よーし、明日俺の腹の調子が良かったらサビョルンにOKだと言っておくぞ」
「でも!私はアーくんと約束っ」
「あ、リュシアンさん」
「もしアーセランの逃亡先に心当たりがあるならちゃんと知らせてくれよ、あんたの評判に免じて奥さんも、あんたにも取り調べはしないんだからな。」
「あ、ああ…」
「よお、新人なのに大変だなあ。ったく主長はいつの間に命令を出してたんだなあ…ゲップ!頑張れよ!」
「リュシアン…あの、やっぱり私も行っちゃダメ?」
「サーシャ、言っただろう、だめだ!外は危険だし二人だと更に目立ってしまう」
「私もアーくんを探したかったのに…」
「すまないな、気持ちはわかるが私に任せてくれ。」
「うん、でも…」
「アーくんの事信じてくれてありがとう!」
「それはサーシャがいう事じゃないだろう」
「しかし…アーセランを探して、無実だということが分かったとしても、無実を証明できなければ私たちも共犯者になってしまう。状況によっては深入りは出来ないだろう。」
「そして、万が一アーセランが本当に事件を起こしたのであれば厳正に対処しなければならない。それは分かっていてくれ。」
「……わかったわ、気をつけてね」
(とにかく衛兵よりも早くあいつを見つけて一体何があったのかを聞かなければな。そして、怪しまれないように)
「よし!」
「行くぞ!」
「おい、何処へ行く。」
「ハッ!?」
「え…えーと、し、仕事だ…が?」
「もうすぐ日が落ちるのにか」
「ご、護衛の仕事をしているんだ、山賊の噂が広まってから忙しくてな」
「………。」
「……。」
「そうか、気をつけろよ。」
「あ、ああ!」
(…ふう)
〜お尋ね者 リバーウッドで衛兵殺しウッドエルフ逃亡中、生死問わず〜
「ゴホン、あー、例のホワイトランから逃亡した奴の情報はあるか?」
「あらリュシアンさん、賞金稼ぎにでも戻ったの」
「い、いや…ただ逃亡中の衛兵殺しというのは只事じゃないと思ってな」
「ええ、たしかにショックだわ。」
「そうね、あのウッドエルフ事件の前日にもここに来ていたわ。ステーキのソースにリーキが入っていたってクレームを入れてきたけど、別にいつもと変わった様子はなかったわね。しかし、まさか殺人犯だったなんて…」
「そうか…」
「おいお前、あのウッドエルフを捕まえるのか?」
「え、まあ。」
「このシンミールが奴から買った幸運の壺は不良品だった!朝あれが足の小指の上に落ちてきて酷い目にあった!ついでに金を取り返してくれ。」
「幸運の壺…」
「俺もだ!」
「俺も…あいつからその…ちょっと良い薬を買ったのに全然効果がなかった!50ゴールドもしたんだ!絶対取り返してくれ!」
「え、えーと」
「あの汚らしいウッドエルフか」
「まさか衛兵を殺すとはな。ホワイトランの警備はどうなってるんだかなァ…」
「そうよ!あんな奴を街に簡単に入れるなんて、最近のホワイトランはどうなってるのかしら」
「私の治療を受けておきながら料金を負けろとしつこく言って来たあのウッドエルフの事ですか!?キナレスの名誉のためにも捕まえてください!」
「そうだ!ホッドだ!リバーウッド で衛兵を殺すところを見たんだとよ、アイツのところへいってみろよ」
「…とにかく」
「「あいつを早く捕まえてくれ!!」」
「………。」
「セオラング、あいつ、アーセランはやっぱりロクでもないやつなんだろうか…私は自信がなくなってきた。」
「クゥ〜ン…」
「考えてみれば最初は脅されていたとは言え、私達を騙して死霊術師に売ろうとしていたんだよな…確かに、そんなに詳しくあいつの事知っているわけでもないし」
「お人好しだね〜」
「いや、とにかく!リバーウッド へ行くか…宿をとって明日ホッドに話を聞いてみよう」
「ワンワン!」
「ん?」
「これは…!あのスキーヴァーか!アーセランいつの間にこんな屋台も作ったんだな、フ、器用なやつだな」
「………。」
「ワンワン!」
「どうしたセオラング?」
「!これは…」
「まさか!!…この独特な匂い!」
「間違いない!あの酒のキャップだ!」
「ワンワン!」
「セオラング?もしかして…酒の匂いが続いているのか!?」
(そうか…!これなら衛兵には気づかれないが、私とセオラングには分かる!)
「勿体無い事をしたな、アーセラン」
「よし!セオラング、案内してくれ!」
「ワンワン!」
「ハァハァ…ここは…」
「まさか、山賊のアジト…?」
「あ、」
「セオラング!待て!」