5話　 囚人

気づくのが遅かった…！死霊術師に取り囲まれ、成す術もなく囚われてしまったリュシアン
結婚資金が調達できるどころか、このままでは愛するサーシャには二度と会えない…！

---

～フェルグロウ砦～

アーセラン「さて、あのー約束どおり、呪文を解いていただきたいんですが…」

死霊術師の男「おい、”奴隷商”とやら…アルトマーが欲しいとは言ったが…」

死霊術師「男じゃないか！！女の奴隷が欲しいと言ったハズだが？」

アーセラン「え…お、女はその……」

 

「………」

アーセラン「そ、その！ちょうど、病気持ちで、年増で…貧弱な者しかおりませんでしたので…っ申し訳ありません。しかし！！その代わりとしてエルフとしては規格外の丈夫な奴を連れてまいりました」

アーセラン「実験体そして使うにはもったいない労働力ですので、こちらとしてはあまりタダでは売りたくはないんですがねえ…」

死霊術師「ふん…まあ我々は実験が出来ればいいんだ…確かにコイツなら三回くらいは耐えられそうだな。分かった。約束どおり魔法を解いてやる」

リュシアン「………」

リュシアン「う………」
アーセラン「お！お目覚めだな実験体さんよ。」

リュシアン「ハ…！……き、貴様ァ…！！ここは何処だ！私を…売ったのか！？」

アーセラン「まあ、お前に恨みはねえんだけど、そういうことかなァ～」

アーセラン「しかし、こんなに簡単に騙されちまうアホがハイエルフさんにも居るとはねえ、ククク…お前、鍛えすぎて脳みそまで筋肉になっちまったんじゃねぇの？」

リュシアン「言わせておけば…！！クソ…！！」

死霊術師「おい」

アーセラン「ん？」

死霊術師「お前もだ」

アーセラン「はあ…？」

………

アーセラン「って……」

アーセラン「ええええええ！！！！？」

アーセラン「約束と違う！！どういうことだ！言われたとおり、実験体を連れてきただろ！！しかもタダで！！！」

死霊術師「はッ…お前と約束したのは、実験体を砦まで連れてきたら、お前に掛けた死の魔法を解いてやるという事だ。逃がしてやるとは言ってない、こちらはいつでも”人手不足”だからな。」

アーセラン「てっめえ…！！よくも騙したな…！！覚えてろよ！檻から出たらボコボコにしてやるからなァ！！」

死霊術師「ハハハ、その前にお仲間さんと仲良くした方がいいんじゃないのか？」

アーセラン「仲間ァ？！……………」

アーセラン「………！」

アーセラン「えーと、あ、違うんだ！その、リュシアンさん…ちょっとま…」

リュシアン「その、”ボコボコ”にしてやりたい気持ち…」

リュシアン「良ぉーく分かるぞ！！！！誰が脳筋アホエルフだーーッ！！」

アーセラン「そ、そんな事言ってねぇ…ひッ！ぎゃあああああ！！！！」

 

サーシャ「リュシアンたち遅いなあ…」

---

つづく。

 

 

おまけのにっこりリュシアン